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ー お地蔵さまのいわれ ー
今から五百数年前、柴屋軒宗長(島田出身の連歌師)が、京都に住んでいたとき、一夜、柔和な顔をしたお地蔵さまが夢枕に立たれ、「わたしは今、川原に埋もれている身であるが、機会があれば世に出て人々の苦厄を除きたいと願っている。わたしをまつり信じる者は幸福に恵まれるであろう」と、お告げになりました。
宗長はこのお告げに感じ入りお地蔵さまを求めて駿河の国に至り、そこで川原の中から石に埋れた一体のお地蔵さまを見つけ出しました。
時に一四六八年のことでした。
その後、幾多の変遷を経て、現在の地である上足洗の天昌寺にまつられるようになりました。
その間、厄を除き福を与える特異なお地蔵さま(厄除地蔵)として信仰され、今に至るまで朝に夕に信者の方の参詣で香煙の絶えるときがありません。
厄除のお地蔵さまは、その慈しみ深いお顔を私たちに見せることなく、お堂の厨子の中にまつられています。
お顔を隠されているのは、「香華を供えてお参りする人の姿を見て、わけへだてがあってはいけない」というお地蔵さまの誓願によるものだといわれます。
お地蔵さまは、お参りするすべての人の願いが、良き縁に結ばれて実りますよう、必ずやお守り下さるでしょう。
